日本茶と幸せホルモンの蜜月の関係
by 黒田九兵衛
高級な日本茶ほど多く含まれる日本茶だけの栄養成分L-テアニン。アミノ酸の一種であるテアニンの効能で知られているのはストレス軽減作用や自己免疫力を高める作用です。テアニンはグルタミン酸誘導体なので、過剰な緊張の脳に対する保護作用や短期ストレス時の軽減効果があります。
さらに最近の研究ではそれだけではなく幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンとも関係があることが分かってきました。セロトニンは必須アミノ酸トリプトファンとビタミンB6から生合成される脳内の神経伝達物質のひとつで、ドパミン(喜びや快楽)やノルアドレナリン(恐怖や驚き)を制御し精神を安定させる働きをします。セロトニンが低下するとコントロールが不安定になり、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック障害などの精神症状を引き起こしたり、更年期障害とも関係があるといわれています。
また、日本人などのアジア人は嫉妬深く他人の成功を称賛したがらないと言われることがあります。これはセロトニン・トランスポーターS型が遺伝的に多いためと言われています。この型は放出されたセロトニンがリサイクルされず体外に排出され慢性的にセロトニン不足に陥ります。日本人の気質はこの遺伝子が影響しています。
セロトニンの原料となるトリプトファンはバナナ、赤身魚、赤身肉、レバー、鶏肉、卵、ナッツ類、乳製品、アボカド、トマト、大豆製品、そばに多く含まれています。しかし、腸内で作られたセロトニンは身体のバランスには良いものの狭い脳内関門を通過できないので脳には作用できません。一方でテアニンは小さなアミノ酸なので脳内関門を容易に通過してセロトニンを生成するので、高級な美味しい日本茶を飲むとリラックスできて幸せを感じるのです。
テアニンはノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの動態に作用すること、覚醒系の最終神経伝達物質であるグルタミンを受容体部分で競合的に調節する作用のあることが報告されており、睡眠をも安定化してくれます。
サムライの時代から良質な日本茶を珍重してきたのも、セロトニン不足を補うという無意識の行動だったのかもしれませんね。
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