基礎編 4:日本茶の価格について
by 黒田九兵衛日本茶の価格はどのように決まっているのでしょうか?また、海外の国にとって日本茶の価格差の要因は何なのでしょうか?
まず、基本は日本茶の摘菜期による差です。一番茶に対して二番茶は1/3の価格です。三番茶は二番茶の6割の価格です。スーパーマーケットで100g当たり500円から1000円で販売している煎茶は有名メーカーであっても、良くて二番茶かまたは三番茶です。テアニンが少なくカテキンが多いので美味しくないのが当たり前です。
次に、工程数や副資材があります。煎茶の工程を標準とすると、ほうじ茶は焙煎工程が追加されます。抹茶も粉末化工程があります。ほうじ茶パウダーは焙煎工程と粉末化工程の2つが必要です。副資材としてはティーバッグ製品を例に取ると、ティーバッグに入る大きさに剪断する工程、ティーバッグに充填し封入する工程、場合によっては個別包装する工程が必要なので、100g当たりの単価は上昇します。ティーバッグ製品は便利ですが、コスト的にはかなり割高になります。
最後に産地です。標高が低い平坦地では品質はあまり高くありませんが、機械化が容易なので大量生産が可能です。そのため価格は安いのが一般的です。紅茶で言えばアッサム地方と似ています。一方で、高い標高の山間部の茶葉は寒暖差があるため品質が高いです。しかし、機械化ができず人手による収穫しかできません。そのため、価格も高いです。紅茶で言えばダージリンです。高級茶と呼ばれる宇治や静岡の川根で最高標高が500m程度。当社が取扱っている美濃白川は800mと日本で最も高い標高の茶畑です。ちなみに、日本は中緯度地域なので日本茶の栽培限界は標高850mです。
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海外との価格差
一般的に日本で販売している食品全般は欧州で輸出販売をすると小売価格は3倍から4倍へと跳ね上がります。それが米国や他の地域でも大きな差はありません。
これは、輸出国現地での流通段階のマージン、関税、付加価値税率、輸送費などによるものです。大きいのは流通段階マージンです。従って、もし小売を考えるならば輸入商社経由で購入するよりも直接日本のパートナーから仕入れる方が良いですし、インターネットで販売する方が中間コストはカットできます。実際にそのような取組みをしている海外のバイヤーの方達も多くいらっしゃいます。
もうひとつの問題は輸送費です。コロナ禍で一旦は下落した原油価格からウクライナ情勢の影響もあって5倍に跳ね上がっています。その結果、燃油サーチャージが高騰し、物流コストは30-40%程度上昇しています。これは工夫をすべき喫緊の課題です。
中国茶との価格差は、ほぼ農作業に従事する方々の人件費で説明できてしまいます。もうひとつは、中国茶は国内の事情で低級茶しか輸出できないことです。そのため、例えば日本産抹茶と中国産抹茶では4倍以上の価格差があります。しかし最近では品質を求める消費者が増えており、高い日本産抹茶を求めるトレンドになっています。