基礎編3:日本茶は飲むだけじゃない
by 黒田九兵衛これはフランスに出張した時のエピソードです。
西部の小さい町に行った時に、現地の日本人が経営するレストランで食事をしました。そこの主人は年配で奥さんと娘さんが店を手伝っています。まさに、日本の食堂という味でどの料理もとても美味しく、地元の常連客で賑わっていました。
「日本から出張?」と主人に訊かれて「ええ、日本茶の仕事をしてるんです。」と話していると、隣のテーブルの常連客が話しかけてきました。「日本茶ってあまり飲んだことがないけど、ニーズはあるの?」と。「日本茶の使い方を知っている人は少ないから、ニーズの前にまずは使い方からですね。」「日本茶は飲むだけじゃないんですよ。」そう答えると、その客は「え?」という顔をしました。
その店の主人はニコニコと笑っています。
「実際に見せましょう。」そう言って、ステーキをソース抜きで注文しました。ステーキが出てくると「塩をください」と言って、持ち歩いていた日本製品のサンプルから抹茶を取り出し、塩と抹茶を混ぜてみせました。「このステーキにこの抹茶塩をつけて食べてみてください。」そう言ってひと切れをその常連客に提供しました。
「何だこれは?美味しい!」と常連客。「これは抹茶塩と言って、抹茶は調味料にもなるんですよ。」その主人はニコニコと頷いていました。
「プレーンのヨーグルトありますか?」と主人に聞くと、メニューにはないが冷蔵庫にあるとのことで、一人分のヨーグルトを特別に用意してくれました。そこにも抹茶をトッピングします。とてもシンプルで簡単です。
「わあ!これも美味しい!」と常連客。抹茶の健康効果とヨーグルトの健康効果で、これは手軽にできるスーパーフードだと説明するととても感激してました。
その主人はなかなか良い日本産のお茶が手に入らない。食品商社が持ってくるのはどれも低級茶ばかりで、日本茶の正当な評価にはつながらないと言ってました。私は、ホテルに戻って翌日にまた訪問して、手持ちのサンプルを数袋彼にプレゼントしました。
このように、抹茶だけではなく日本茶のレシピも実に豊富です。ほうじ茶はコーヒーや紅茶のアレンジレシピをほとんど再現できてしまうくらいです。
さらに、この例のように、調味料に使う、スイーツの材料に使う、料理に使うこともよくあります。ただし、抹茶ブームの中で、インスタグラムに抹茶をフェイスパックに使っている写真がありました。個人的には私はこれを推奨しません。